特集
―精神予防性無痛分娩法―日赤産院における実施法について
竹谷 アサヨ
1
1日赤産院
pp.58-60
発行日 1954年1月1日
Published Date 1954/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200532
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中共から帰還された当院の菅井先生により日赤産院において試みられた精神予防性無痛分娩が成功したのは本年6月8日であつて,これがわが国で初めてのことである.
鉄のカーテンの中から持ち帰られたものとして一部では思想的背景を云々されたり,又あちらと教育程度の異る婦人に対しては効果があるにしてもわが国のような文化的水準の高い神経質な婦人に対しては駄目だろうとかいろいろ批判的な取沙汰もあつたが,元来学問に国境はないはず我々としても次々の実施成績を見又その内容を理解するに及んで,これがもちろん杞憂であり,医師の行うものというよりもむしろ助産婦のなすべき看護の面に属するものだということが考えられてきたのであつた.多くの法約拘束を受けている日本の助産婦が法に束縛されず,産前の教育と分娩時の教育とによつて産婦をお産の苦しみから救えるとしたら,これは助産形式の一大転換ともいえるし,分娩に臨む女性のためには明るい光ともなるものと思つて,何とか良いデーターを出したいものと全員これに協力したのであつた.
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