講座
正規分娩監理上の二三の私見
和田 豐
1
1東大講師警察病院産婦人科
pp.19-21
発行日 1953年2月1日
Published Date 1953/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200272
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吾々が妊産婦を監理して其分娩までの責任をとる場合に妊娠中から分娩時の異常を予測出来る場合には早くに家族にも其大略を説明して了解して貰う事が出来るし又それに対する適当な処置を準備して医師としての万全を盡す事が出来る。例えば妊娠腎炎,狹骨盤,胎位異常,腦水腫等は之に属する異常で,前置胎盤,常位胎盤早期剥離,早期破水等は前記の分娩異常とはやゝ違つて後述する部類のものに近くなるがそれでも通常は分娩当初に著明な症状を示すので之等に対する処置は比較的順当に施行する事が出来る。
次に妊娠中から監理して居ても予測し得ない分娩異常が色々あるがその内兒頭回旋異常,遅滯破水,胎盤の低置附着,疲労性陣痛微弱等は分娩の推移に従つて出現するものであるから分娩監視を怠らなければ時期を逸せず適切な処置を行う事が出来るが,胎兒附属物の物理的異常や母体の特異体質は分娩終了後か或は既に母体が危険にさらされるに及んで始めて気付かれる異常であつて吾々には最も取扱いにくいものである。
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