逆轉する妊産婦死亡

　10年前，日本の妊産婦死亡率は，米英の諸國より明に低率であった。1942年出生1萬當りの妊産婦死亡は，日本2.1，米國2.6，英國2.6であつた。—しかし10年の年月の間に事情は一變し，彼我の關係は逆轉した。最近の數字は日本1.7（1950年），米國1.2（1948年）英國1.0（1949年）であり，米白人のみでは0.9，即ち，最近の我國妊産婦死亡率は米白人の2倍の高率となつた。我國の殆ど唯一の誇りであつたこの死亡率が，短い年月の間に位置を異にするに至つた理由は何處にあろうか。3大原因別に觀察してみよう。