人工股関節

Rehabilitation and treatment strategies for long-term outcomes of total hip arthroplasty

はじめに

　人工股関節全置換術（total hip arthroplasty：THA）には，機能回復と長期耐用の両方が求められる．近年では摺動面，表面加工，インプラントデザインの改良などにより初期固定性，耐摩耗性，脱臼抵抗性が向上，骨融解や無菌性ゆるみなどの合併症が減少し，良好な中長期成績やインプラント生存率の改善が報告されている^1-3）．しかし，すべてのインプラントが良好な長期成績を示しているわけではなく，また最新の物が常に最良であるとは限らないため，長期の安定した成績が証明されたインプラントを選ぶことが重要である．

　本稿では長期成績を得るためのインプラント選択や，確実なインプラント設置を行える術式と合併症対策，術後急性期のリハビリテーション，生活期のリハビリテーションおよび動作指導，術後長期フォローアップのためのポイントに分けて筆者の施設での実際の方法・成績を交えながら概説する．