編集後記

　父方の田舎は鰤の大敷網で有名な漁師町．今は過疎の進む静かな街ですが，1940〜50年代の「鰤景気」のころは，映画館や料亭，ビリヤード場まであったそう．通称「鰤式」とよばれる漁業株の配当で漁師たちはみんなとても豊かで，1回履いたパンツはもう履かないとか，お金の使い道がなくて漁師も振袖を羽織っていたとか，洋服は東京まで買いに行っていたとか……祖父や父からそういう景気のいい話を聞いたことがあります．私が毎年夏休みを過ごしていた小学校のころにはもうそんな豊かな街の面影はほとんど残っていませんでしたが，父の田舎で食べる魚は本当においしかったです．おかげさまで，すっかり魚好きに育ち，今も結構頻繁に魚が食卓に上るのですが，昨年取材にお邪魔した学会で，「魚をよく食べる人（1日約82g）は，あまり食べない人に比べて認知症リスクが61％低下する」という話を耳にしました．魚好きにはうれしい話です．それ以来，日々スーパーの魚売り場をうろついているのですが，なんだかここ数か月，とにかく魚が売っていない！　そしてものすごく高い！　今のご時世，認知症予防も簡単ではありませんね……．