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特集 重度障害児者の生活の現状と課題
PICUにおける重症心身障害児—その課題と展望
Children with profound multiple disabilities in PICUs
齊藤 修
1
Osamu Saito
1
1東京都立小児総合医療センター救命・集中治療部
1Department of Pediatric Emergency and Critical Care Medicine, Tokyo Metropolitan Children's Medical Center
キーワード:
PICU
,
小児集中治療
Keyword:
PICU
,
小児集中治療
pp.883-888
発行日 2017年9月10日
Published Date 2017/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201079
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はじめに
小児集中治療室(pediatric intensive care unit;PICU)の始まりは,1967年米国フィラデルフィア小児病院とされる1).それから四半世紀後の1991年に本邦でも国立小児病院(現在の国立成育医療研究センター病院)にPICUが初めて開設されたが,洋の東西を問わず,侵襲の強い介入は,生存率の向上と引き換えに多くの問題をもたらすこととなった2).米国における子供の死亡の多くは院内3)の特にPICU4)で起きており,そのうえ,入室児の4〜7割は,入室期間や死亡率を増す,より重い慢性疾患を従前より抱えるようになった5).またおおよそ6割の子供は入室後に多臓器不全を呈し6),呼吸器が必要となると,PICU死亡率(3〜4%)は5〜6%へ増加する7).20人に1人は死亡するという緊急度,重症度に直面し,生存を得られたとしても合併症や障害を被った多くのPICU退室児は,背景疾患を一層複雑にし,再入室を繰り返すといった悪循環に陥る.しかしながら一瞬の介入が生死を分かつPICUでは,重症心身障害児やその家族の背景を洞察し,長期にわたるアウトカムを推し量る余裕はない.
本稿ではこうした小児救命医療の最前線ともいえるPICUにおける重症心身障害児の課題と展望について述べる.なお以下に記載する重症心身障害児は,大島の分類に準拠するが,多くの医学的介入・ケアを各臓器に行わざるを得ない状態を前提とする.
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