Japanese
English
症例報告
急性有機リン中毒患者に対するリハビリテーション経験
A treatment for a patient with acute organophosphate poisoning:ambulation from bedridden.
山崎 允
1
,
藤原 大
2
,
眞渕 敏
1
,
道免 和久
3
Makoto Yamazaki
1
,
Dai Fujiwara
2
,
Satoshi Mabuchi
1
,
Kazuhisa Domen
3
1兵庫医科大学病院リハビリテーション部
2坂総合病院リハビリテーション科
3兵庫医科大学リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation, The Hospital of Hyogo College of Medicine
2Department of Rehabilitation, Saka Hospital
3Department of Rehabilitation Medicine, Hyogo College of Medicine
キーワード:
有機リン中毒
,
運動負荷
,
指標
Keyword:
有機リン中毒
,
運動負荷
,
指標
pp.983-987
発行日 2014年10月10日
Published Date 2014/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552200030
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はじめに
有機リン中毒は,農薬などの有機リン製剤を摂取することで体内のアセチルコリンエステラーゼがリン酸化し活性が阻害され,神経シナプスでアセチルコリンが過剰蓄積することによりさまざまな症状が出現するものである(表)1,2).特に発展途上国においては大きな問題であり,年間20万人がこの疾患により死亡している.世界的にみても,治療や全身管理も困難とされ,致死率は15%以上の難治性の疾患と報告されている3).本邦における有機リン中毒患者の報告は,救命救急領域の医師からは数多くみられるが,リハビリテーション施行についてはほとんどみられない.
今回,血液データで有機リン中毒症状における重症度の指標として用いられる1,4,5)血清コリンエステラーゼ(cholinesterase;ChE)値や臨床症状などに注意して急性期からリハビリテーションを施行し,最終的に歩行自立に至った有機リン中毒の症例を経験した.本稿では,症例を通して有機リン中毒患者に対するリハビリテーション施行上の注意点について考察し報告する.
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