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はじめに
摂食動作のほとんどは,乳幼児期にその基本的な発達がなされ,その後の発育期全般を通して生活のなかで機能の定着がなされる.小児の摂食動作障害に対するリハビリテーションでは,動作の発達の途上であることと,動作のなされる器官が成長途上であることを考慮することが必要である.また,食物が口に入るまでの動作と口に入った食物が処理(咀嚼・嚥下)される動作との2つの動作について,各々の動作と相互の関連動作についての評価が必要となる.発達の順番からみると,乳児期の離乳を通して口腔領域の摂食に関わる動作が発達し,それらの後を追う形で口の動きに応じた上肢,手指の動作発達がなされている.
摂食・嚥下機能の発達過程を特徴的な機能獲得をもとに8つの発達段階を設け,それぞれの機能段階で特徴的な動きを図1に示した.この発達過程を食事の自立過程の視点からみると,介助されて食べさせてもらいながら摂食に関わる口腔領域の発達がなされ,手づかみで口の動きとの協調を学びながら,道具としての食器・具の扱いを学び自立していく食事行動の発達過程と解釈でき,発達途上の小児における摂食動作の発達程度を知る基本となる.発達障害の面から見ると,発達遅滞が早期から評価可能となり,評価に基づいて訓練対応することにより,摂食動作の発達の遅れに対して機能発達を促すことが可能となる.ここでは,小児の摂食動作障害を発達障害の視点から捉え,図1の8段階を基にして,筆者の臨床で頻度多く用いている評価法と訓練法についてその概要を記す.
小児の口腔領域における摂食動作障害の評価で注意すべきことは,口唇,舌,顎などの動作障害内容と協調障害内容を評価することにある.それには,評価に必要な各器官の機能障害段階の特徴的な症状を十分に知ることが不可欠であり(図2),そのうえで訓練法を選択すべきである(図3).
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