Japanese
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講座 中枢神経の可塑性
3.神経疾患に対する神経移植・再生医療―神経幹細胞への期待
Neural transplantation and regenerative therapy for neurological disorders: Prospect of neural stem cells.
伊達 勲
1
Isao Date
1
1岡山大学大学院医歯学総合研究科脳神経外科
1Department of Neurological Surgery, Okayama University Graduate School of Medicine and Dentistry
キーワード:
神経移植
,
パーキンソン病
,
カプセル化細胞
,
神経幹細胞
Keyword:
神経移植
,
パーキンソン病
,
カプセル化細胞
,
神経幹細胞
pp.721-727
発行日 2002年8月10日
Published Date 2002/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109829
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はじめに
神経疾患に対する神経移植・再生療法は,新しい治療法として期待され,研究が進んでいる.元々,細胞や神経組織を脳内に移植する研究は,中枢神経系の発生や成長を研究する目的で行われてきた.1970年代に入って,パーキンソン病モデル動物の脳内にドパミン産生細胞を移植することによる治療効果が証明され,疾病の治療を目的とした多くの研究が行われるようになってきた.現在では,神経移植・再生療法の効果が期待できる疾患として,パーキンソン病以外にも,アルツハイマー病,ハンチントン病,筋萎縮性側索硬化症,脳虚血,脊髄損傷,癌性疼痛など多くの神経疾患があげられ,研究が進んでいる.さらに,神経幹細胞という,より多能性を有する細胞の研究の進歩により,21世紀には,神経移植・再生療法が,種々の神経疾患に対する治療法の一つとして確立されていく期待がもたれている.
本稿では,パーキンソン病を中心に,神経疾患に対する神経移植・再生医療について,これまでの研究をまとめ,神経幹細胞に対する期待を展望する.
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