Japanese
English
特集 運動失調
末梢神経障害による運動失調
Ataxia due to Peripheral Neuropathy.
小國 英一
1
,
永田 博司
1,2
Eiichi Oguni
1
,
Hiroshi Nagata
1,2
1茨城県立医療大学附属病院神経内科
2茨城県立医療大学医科学センター
1Division of Neurology, Ibaraki Prefectural University Hospital
2Center for Medical Sciences, Ibaraki Prefectural University of Health Sciences
キーワード:
失調性末梢神経障害
,
固有感党
,
深部感覚
,
視覚補正
Keyword:
失調性末梢神経障害
,
固有感党
,
深部感覚
,
視覚補正
pp.927-931
発行日 1999年10月10日
Published Date 1999/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109074
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特徴
運動失調を歴史的に概観すると,その定義が曖昧に用いられることが多いが,これは協調運動障害と平衡障害を包括する概念と考えられ,脊髄後索型,小脳型,前庭迷路型に分類される1).これらが運動失調という類似した臨床症状を呈する背景には,協調・平衡運動の調節中枢である小脳への前庭系からの入力投射(図1)と,四肢末梢からの固有感覚(Proprioception;PC)投射(図2)が重要な役割を果たすためであり,運動の結果を速やかに中枢神経系へフィードバックするこれらの感覚の重要性は,Allenら3)が提唱し,現在も運動調節全般の基礎となる階層的神経構造(図3)にも示されている.
このような観点から末梢神経障害による運動失調を考えると,前庭神経炎や迷路炎等の前庭障害,Wallenberg症候群等のPC伝達を中継する脊髄小脳路の障害,脊髄癆・亜急性連合変性症等の,微視的には脊髄神経節に細胞体を有する偽単極細胞の軸策からなる脊髄後索障害も広義にはこれに属する.
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