特集 脳卒中の治療―最近の話題
脳梗塞急性期の薬物療法の進歩―抗トロンビン薬による治療
内村 公一
1
,
新納 正毅
2
,
倉津 純一
2
Koichi Uchimura
1
,
Masaki Niiro
2
,
Jun-ichi Kuratsu
2
1国立南九州中央病院脳神経外科
2鹿児島大学医学部脳神経外科
1Department of Neurosurgery, National Minami Kyusyu Chuo Hospital
2Department of Neurosurgery, Faculty of Medicine, Kagoshima University
キーワード:
脳梗塞
,
抗トロンビン薬
,
アルガトロバン
Keyword:
脳梗塞
,
抗トロンビン薬
,
アルガトロバン
pp.537-542
発行日 1999年6月10日
Published Date 1999/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108991
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はじめに
従来,脳梗塞急性期の薬物療法は,抗浮腫薬グリセロール,血漿増量作用・微小循環改善作用のある低分子デキストラン,抗血栓薬ウロキナーゼが中心であった.1990年,米国NINDS(National Institute of Neurological Disorders and Stroke)による脳血管障害の分類第Ⅲ版で,脳梗塞はアテローム血栓性脳梗塞,ラクナ梗塞,心原性脳塞栓症,その他,の4つの臨床カテゴリーに分類され1),脳梗塞の病態がより詳細に解明されるに伴い,それぞれの病型に応じた治療法が重要となってきている.
本邦でも1992年,脳血栓症急性期に抗血小板薬オザグレルナトリウムが認可され,さらに1996年,選択的抗トロンビン薬アルガトロバンが発症48時間以内の脳血栓症急性期に対して効能が認められるに至り,脳梗塞急性期の薬物療法は大きく様変わりすると共に,治療成績も向上してきている.
本稿では抗トロンビン薬アルガトロバンを中心に,脳梗塞急性期の薬物療法について解説する.
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