書評
新潟県視覚障害者のリハビリテーションを推進する会制作―ビデオ「目の不自由な人の“目”となってください」
大場 純一
1
1横浜市総合リハビリテーションセンター
pp.154
発行日 1998年2月10日
Published Date 1998/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108595
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信楽園病院(新潟県)の山田幸男医師を中心に,県内の医師らで活動している「県視覚障害者のリハビリテーションを推進する会」は,視覚障害者の理解のため,誘導歩行の学習会などを行っている.同会により,視覚障害者の誘導歩行の方法を解説したビデオが制作された.このビデオは,街中で視覚障害者が戸惑っているときに,一人でも多くの人が適切に援助できるようにと制作されたものである.内容は,視覚障害者が外出できない理由などをアンケート結果で示し,誘導者がどうして必要なのかという説明から始まる.視覚障害者や誘導者が出演し,誘導を行う際の心がまえから,基本姿勢,バスの利用などを具体的に実演・説明しており,初めて誘導を行う人達の教材としてわかりやすい内容となっている.
視覚障害者の外出を保障するには誘導者の存在だけでなく,社会的背景についても考える必要がある.ビデオの中でも視覚障害者が思いどおりに外出できないのは,主に「駐車している自動車,放置自転車,商店の前に広げられた商品などがあり危険」と訴えているが,単独でも外出できるように,このような歩行環境は変えていかなければならない.例えば,数年前までは店先から歩道にはみだしていた自動販売機が,メーカーや設置者の努力と理解によって,解消されつつあるように,物理的な改善策も必要である.
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