Japanese
English
増大特集 老年者とリハビリテーション
Ⅰ.老化の基礎
神経系の老化―末梢神経系
Aging of Nervous System: Peripheral nervous system.
初山 泰弘
1
Yasuhiro Hatsuyama
1
1国立身体障害者リハビリテーションセンター
1National Rehabilitation Center for the Crippled
キーワード:
老化
,
末梢神経
Keyword:
老化
,
末梢神経
pp.292-295
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106769
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はじめに
末梢神経系は脳神経,脊髄神経および特殊な自律神経系の総称であるが,一般には腕神経叢・坐骨神経叢などをも含め四肢を走る坐骨神経,尺骨神経などを指す.これらの末梢神経は形態的には神経幹と呼ばれ,その中には脊髄の運動神経の興奮を末梢に伝える遠心性神経線維,胃腸などの内臓や皮膚・筋からの情報を中枢側に伝える求心性神経線維が混在している(図1c).個々の神経線維は図1aのように軸索,シュワン(Schwann)細胞,髄鞘から構成される.中心の軸索をシュワン細胞が包み,シュワン細胞の細胞膜が軸索の周囲を層状に巻き髄鞘を形成する.神経線維は髄鞘の有無によって有髄・無髄神経に分けられる.有髄神経線維は一定の間隔で髄鞘を失い,シュワン細胞膜が軸索に直接接する“くびれ”があり,その部分をランビエ(Ranvier)絞輪と呼ぶ,髄鞘が途切れるランビエ絞輪部は電気的に抵抗が小さいため,神経細胞の興奮はこの絞輪部を選び末梢側に伝えられる(跳躍伝導),絞輪間距離は神経線維の径の太いほど長く,興奮の伝導速度はランビエ絞輪間距離が長いほど早い.したがって,径の太い大径神経線維ほど興奮の伝導速度は早くなる.神経線維は,その径の太さによって表のように分類されている.軸索内は軸索流と呼ばれる流れがあり,各種物質が末梢側へ(順行性輸送),または中枢側へ(逆行性輸送)移動している.この中には筋線維への栄養因子も含まれているといわれる.
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