Japanese
English
増大特集 老年者とリハビリテーション
Ⅰ.老化の基礎
神経系の老化―中枢神経系
Aging of Nervous System: Central nervous system.
柳澤 信夫
1
Nobuo Yanagisawa
1
1信州大学医学部第3内科
1Department of Medicine (Neurology), Shinshu University School of Medicine
キーワード:
老化
,
中枢神経系
,
痴呆
,
P300
,
反応時間
Keyword:
老化
,
中枢神経系
,
痴呆
,
P300
,
反応時間
pp.287-291
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106768
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加齢に関連した中枢性神経系の特徴
ヒトで最高に発達した脳は他の臓器と比べていくつかの特徴がある.中枢神経系は大脳,脳幹,小脳,脊髄から成り,運動,知覚,高次の知的活動を司る.ヒトの中枢神経は生まれたばかりは極めて未熟であり,独立して生活する能力は全くもたない.同じ哺乳類の他の動物が生まれてまもなく立ち上がり,歩き始めるのとは対照的である.
脳の重さは生下時に370~400gだが,身体の発達に伴って急速に重量を増し,約20歳で1,300~1,400gと最大に達する1).神経細胞は乳児期までにすべて生まれ,その数は脳全体で約140億といわれる.しかし,神経系の活動に最も大切な回路網が完成するにはさらに年月を要する,軸索がのびて分岐し,他の細胞の樹状突起に結合して神経回路網が完成するのは約10歳といわれる(図1)2).さらに青年期にかけて,いわゆる脳のソフトウェアといわれる知的能力の開発と経験は重ねられ,蓄積される.その作業はさらに一生続く.
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