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編集後記
千野 直一
pp.96
発行日 1991年1月10日
Published Date 1991/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106718
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20世紀も余すところ10年.21世紀に向け我が国の医療で特記しなければならない現象は急速な高齢化社会の到来であり,その対応手段を早急に確立するよう迫られていることでしょう.過去半世紀にわたって進歩発展してきた臓器別分野での医学・診療システムもあまりの顕微鏡的な専門分割の弊害が反省され,包括医療の考えが導入がされるところとなっています.リハビリテーション医学・医療はその起源から“障害”の予防と改善,能力低下と社会的不利の是正ということを目指して,すでに包括医療を実践してきております.このような時期にあたって,本誌では“包括医療システムの中のリハビリテーション”という特集で,包括医療とリハビリテーション医療との関係を掘り下げてみました.
池上直己氏は包括医療の定義と合わせてリハビリテーション医学とのかかわりを英国の事例などをまじえて解説され,続いて伊藤利之氏は横浜市のリハビリテーションセンターと地域リハビリテーションのネットワークの在り方を紹介されています.また,具体的な事例報告として“老人”について浜村明徳氏ら,“障害児”は里宇明元氏,“精神障害者”は野田文隆氏ら,“老人保健施設”について隅田俊子氏が長年の経験を報告して下さいました.それぞれパイオニア的なご苦労がにじみ出ている論文です.
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