特集 リハビリテーション医療の問題点
リハビリテーション医不要論について
博田 節夫
1
1国立大阪南病院理学診療科
pp.616
発行日 1988年8月10日
Published Date 1988/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105892
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昨年来,リハビリテーション科の標榜問題にからんで,リハビリテーション医療とは何かについて考えて来たが,いまだに結論を出すに至っていない.誰もが暗黙の了解のもとにそれを語っているように思われるが,質問を発しても,首肯しうる解答はえられない.むしろ,医師も医学生もリハビリテーション医の存在に疑問を持っているとさえいえる.
リハビリテーション医療に関する最大の問題は,その対象を明確にできないことである.厚生白書によれば,リハビリテーションの対象は心身障害者であり,したがって,その医療対象は心身の障害を残すものということができる.昭和62年における身体障害者は約240万人で,そのうち肢体不自由60%(約146万人),聴覚音声言語障害15%,視覚障害13%,内部障害12%であり,精神障害者は昭和59年に約155万人と推定されている.定義からすれば,これらすべての障害がリハビリテーション医療の対象と考えられるが,現実はほぼ肢体不自由に限定されているという矛盾がある.肢体不自由はPhysical Medicine and Rehabilitation(PM & R)の対象であり,リハビリテーション医療の一部でしかない.
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