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編集後記
上田 敏
pp.590
発行日 1988年7月10日
Published Date 1988/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105870
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今月の編集後記は悲しいお知らせから始めなければならない.それは本号580ページの追悼記事にもあるように,われわれの敬愛してやまない,リハビリテーション界の慈父ともいうべき砂原先生が6月10日突然に病魔に侵され,僅か5日間の闘病ののちに同月15日不帰の客となられたということである.今月号から6回の予定で始まった講座「リハビリテーションのための統計学」の第1回として先生に統計の基本的な考え方について書いていただいたが,その冒頭には「一人一人の人間の存在感は大きい」とある.そういえば砂原先生ほど存在感の大きな方も珍しかった.結核から出発してリハビリテーション・臨床薬理学・人類遺伝学・医学医療論と四方八方に枝を伸ばした大樹のように多くのレパートリーをもち,3人分も4人分もの仕事をしてこられた.その広い視野と公正な判断,そして何よりもあの温顔にもはや接することができないというのは悲しいことである.心から先生の御冥福を祈りたい.
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