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はじめに
現在,わが国において認定医,あるいは専門医制度のある学会が17ある.日本リハビリテーション医学会は,わが国の医学とリハビリテーション医療の歴史的特性と現状を考慮して,認定医と専門医の二本立ての,国際的にみても類をみない資格制度にてスタートした.わが国においては,リハビリテーション医学に対する教育は不完全であることは否定できない.そのため,今回,認定医に応募された方々は,それぞれの専門分野の範囲内で,長年にわたり活躍され,言葉を変えると,わが国のリハビリテーション医療を育て,はぐくんでこられたともいえる著名な方々が,そのほとんどである.
専門医,認定医認定委員会は昭和55年に初年度経過措置により認定された18名(専門医)が,学会長より任命され,大任であるがその作業を行った.実際に認定をはじめる初年度であるため,頻回に委員会を開催し,その認定基準の作成より開始した.
委員会を,認定医認定小委員会と,専門医認定小委員会とにわけ,それぞれの立場から,認定審査の方法,手順,認定基準などを検討し,原案を作成し,全体委員会にはかり,一部修正したものを根幹として,認定審査業務を行った.
認定医認定小委員会は,認定医が専門医となり,筆記試験,口頭試験がなく,書類審査のみであるので,多くの問題をはらんでいるので慎重に審査を加えた.認定に際しては資格,論文,症例報告,学会報告の項目について,それぞれ個別の審査を加えた.
この制度に対し多くの批判もある.関連学会の一つである日本整形外科学会の専門医認定基準に比して,基準が厳しすぎる.他の意見は論文に関するものが多く,この認定医制度は学位審査ではない.論文では,実際の臨床の実力を評価することは不能である.また,限られた分野の中で,リハビリテーション医学に関連する論文を10編も書くことは,大学または特定の施設にいないと至難なことである.その他は,定められた分野は,疾患別の縦割りであるのでADLや装具などを主体として研究してきた横割りの論文は不利である.などの意見があった.
しかし,書類審査のみにて,認定審査を加える制度下においてやむをえないと考えられる.認定小委員会は,これらの御意見を十分にふまえ,公平かつ慎重に審査を行った.その審査結果を,専門医認定小委員会との合同である全体委員会にはかり,その結果を,学会長に報告し,学会長のご意見を入れ,わが国初の認定医44名(このうち4名は複数の分野にて認定)が誕生した.ちなみに認定医申請者は54名であった.
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