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編集後記
大川 嗣雄
pp.307
発行日 1978年4月10日
Published Date 1978/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103976
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京浜地方は例年になく寒さが厳しかったせいか,春の暖かさが一層身にしみて感じられるこの頃です.しかし,まだ雪に埋もれている地方の便りも聞くと,寒冷地の皆様のご苦労をしのばずにはいられません.
本号は,ちょうど新学期に合せた訳ではないのですが,肢体不自由教育の特集をお送りすることになります.戦後の日本のリハビリテーションの歴史の上で,昭和54年からの養護学校義務制の問題は,大きな出来事であることは間違いないと思われます.しかし,この制度が円滑に運営され,障害児がこの制度によってより良い状態におかれるかどうかは,関係する人々の熱意と努力が今後益々必要なのだと痛感せずにはおれません.現実的には都会においては,今までわれわれがリハビリテーションの対象とは考えなかったであろう(?)重度で,しかも重腹障害児が続々と入学している現実があります.一方では,小池氏の論文や五味氏の発言にもあるように,正しい訓練が本当に行えているのだろうかと言う危惧もあります.しかし,養護学校(肢体不自由児)が例え重度障害児にとって唯一の通える場だとしても,医療と教育の接点がそこに見出されなくてはならないでしょう.そのためにはリハ医療の関係者には,リハの対象は何なのか,教育の関係者には肢体不自由とは何なのか,と言う問いかけがなされなくてはいけないような気がします.
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