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編集後記
大川 嗣雄
pp.1012
発行日 1976年12月10日
Published Date 1976/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103690
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今月号は,本年の悼尾を飾る特集として,授産施設と福祉工場をお送りしたい.職業的リハビリテーションの実践の場として,身障授産施設の長い間果たしてきた役割,新しいものとしての,重度授産,福祉工場等の現実の姿が浮き彫りにされている.さらに,労働行政にかかわる身体障害者雇用促進法の改正やこの不況の現実の中で,これらとの関係において,授産施設や福祉工場のあり方や進むべき道を読み取っていただけたら幸いである.
小川氏の論文では,障害の重度化に伴う,現場での混乱を整理するための,雇用対策と福祉対策の交通整理をのべられている.また,現場からの報告では,各氏がいかにユニークな発想をもって,現実に対処しているかが伝わってくる.調氏,星氏,伊藤氏も福祉工場,養護学校と立場こそ違え,職業的リハビリテーションが,評価の時点から,就労,老後に至るまで,一貫した科学的な体系が作られなければならないことを主張している.これに対し,沢村氏はリハビリテーションに関心を持つ一医師の立場から,松井氏は諸外国の現状,特にワークショップについてのべられているが,この2つの論文は,今後の方向への1つの提案と考えると,読者諸兄の議論の種となるのではないだろうか.さらに,米国の職業リハの専門家であるギャレット,コーエン両氏を囲んでのセミナーを小川氏に紹介して頂いた文をこの号にのせることができた.また,一頁講座も職業リハである.この機会に再読していただければ幸いである.
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