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編集後記
大川 嗣雄
pp.510
発行日 1975年6月10日
Published Date 1975/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103365
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今月号で第3巻もその半ばに達した.もっと早く取りあげるべき問題であったかもしれない心理の問題の特集をお送りすることになる.ほぼ40頁におよぶ,各氏の論文に加え,講座としての心理テストもあり,この号は名実共に心理の特集といえよう.リハビリテーションの領域における心理の重要性は,誰でもが認めているにもかかわらず,臨床の場での連係は必ずしも十分であったとはいえないのではなかろうか.この意味で,この特集の各氏の論文がリハビリテーションの各専門分野に多くの刺激を与えてくれるものと感じるのは筆者だけではないであろう.特に,荻島氏も永井氏も,患者ばかりでなく,職員に対しての心理的配慮がわが国において欠けていることを振摘している.このことに関して,D. Wilson氏も,リハビリテーションにおける計画の優先順位として,第2に人の問題をあげているのも,何か共通した点を指摘されているようで興味深い.この座談会は職業的リハビリテーションのあり方と題されてはいるが,保護施策の問題点から,評価のあり方,重度者の職業的リハビリテーションに至る幅広いものとなった.
また,小野氏の巻頭言も,リハビリテーションの問題が社会全体の中でどうとらえられるべきかという点を考えねばならない時期に入っていることを示しているように思われる.
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