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編集後記
明石 謙
pp.1140
発行日 1973年11月10日
Published Date 1973/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103058
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今回の特集は切断と義肢についてである.このテーマは取りあげやすいせいか,種々の雑誌ですでに度々特集が行なわれてきた.私もこのテーマには少なからず関心があり,できるだけ目を通すように心がけてきただけに,この号の特集が通り一辺のもので終りはしないかと気になっていたのだが,御覧の通りのものとなり,このテーマの底の広さを見たような気がした.日本には概算して約10万人の切断者がいると言われており,決して少ない数ではない.したがってあるレベルまで内容が改善されたからと言っても,そこにとどまることなく腰をおちつけた息の長い問題のとらえ方をせねばなるまい.
個々の論文はその内容以外に私の感じたことをのべれば,沢村氏らの「サイム切断と義足」はこの分野での数少ない立派な総論であり,青山氏の骨格義肢に関する論文はうまく行きそうで多くの問題点がある困難さが感じられる 吉原氏のX線をソケットの適合判定に利用された結果については従来の常識的事実の再評価の重要性を忘れてはならないことを示しているように思われる.大塚哲也氏の「いたみ」の論文は問題のとらえ方の困難さとその工夫が氏のこの問題と取り組んでこられた歳月を感じさせる.
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