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編集後記
川
pp.1158
発行日 2012年8月10日
Published Date 2012/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102648
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福島県在住の友人から聞いた話.ラジオで福島市の中学生の言葉が紹介されていたとのこと.「自分は未来に何の不安もない.理由は,大人の人たちが一生懸命に除染をしてくれているから」これを聞いて彼は,此処に残って頑張れると感じたそうです.
大船渡で水揚げ再開というニュース.漁師さんたちの復興への頑張りは,「三陸の魚を買って支援しよう」と温かく迎えられる.一方で福島県沖での操業再開のニュースには,「消費者を被曝させるのか」という声.確かに放射線の問題はとても難しい.でも,一つ言えることは大船渡の漁師さんも,福島の漁師さんも,家族のため,地元のため,復興に向けて頑張っているということだと思います.「子どもは早く避難させろ」,「子どもを外で遊ばせるな」という声にとまどい,悩みつつ,福島の大人たちは,それでも家族のため,地元ため,未来のために今できること―たとえば除染作業―を一生懸命行っています.先の中学生の発言はそんな大人の姿をみての言葉なのではないでしょうか.「自分たちのために頑張ってくれていることを僕たち(私たち)は知っているよ」と.心を揺さぶられたと同時に,子どもにこう言わせてしまう現状をとてもせつなく感じました.
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