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編集後記
川
pp.946
発行日 2012年6月10日
Published Date 2012/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102579
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福澤諭吉は英語の「freedom」,「liberty」を「自由」と訳す際,大変悩んだといいます.結局仏教用語の「自ずからに由る」を使用したわけですが,最後まで迷った候補は「天下御免」だったそうです.なるほど!思わず膝を打ちました.勢いもあってなかなか名訳ではないでしょうか.「天下御免」の意味を辞書で引くと「公然と許されること.はばかることなく堂々と振舞えること」とあります.もし,「天下御免」が採用されていたら…….「自由民権運動」→「天下御免民権運動」,「自由時間」→「天下御免時間」,「自由恋愛」→「天下御免恋愛」,「自由席」→「天下御免席」,…….なんとなく「自由」の概念も今とはちょっと違ったものになっていそうです.いずれにしてもどちらを選んだほうがよりよかったのかは知る由もありません.
本号掲載のインタビュー「リハビリテーション温故知新」のなかで,「リハビリテーション」という言葉が日本に入ってきたとき,きちんとその意味を表現できる言葉を作れなかったというお話をされています.福澤諭吉が生きていたら「リハビリテーション」をどのように訳したでしょう.なるほど!と膝を打つ名訳が飛び出すでしょうか?
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