Japanese
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増大特集 リハビリテーションQ&A
Ⅳ 関節リウマチ,その他の骨関節疾患
28.肩関節のリハビリテーション
Rehabilitation for shoulder joint.
舟﨑 裕記
1
Hiroki Funasaki
1
1東京慈恵会医科大学スポーツ・ウェルネスクリニック
1Department of Sports and Wellness Clinic, Jikei University School of Medicine
キーワード:
リハビリテーション
,
投球肩障害
,
上腕骨近位部骨折
,
腱板断裂
,
五十肩
Keyword:
リハビリテーション
,
投球肩障害
,
上腕骨近位部骨折
,
腱板断裂
,
五十肩
pp.588-593
発行日 2012年5月10日
Published Date 2012/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102501
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Q1 投球肩障害に対する診断とリハビリテーションはどのように行うか?
投球動作は,下半身で蓄えた力を体幹を介して上肢に伝え,指先のボールスピードに変換させるという運動連鎖から成り立っている(図1).あらゆる部位の障害が生じてもこの連鎖に破綻を来し,最終段階である肩,肘の負担が増して障害が生じることになる.投球肩障害にはさまざまな肩関節内の病変が挙げられているが,その原因は肩甲帯を含めた肩関節のみならず,他の身体的所見に求められることが多い.すなわち,関節内病変は,他の身体的問題点や非効率的な投球フォームによって,肩関節のインナー,アウターの筋バランスの不均衡を生じ,投球動作の際に骨頭の肩甲骨関節窩への求心性が失われ,不安定性を来すことから生じた二次的所見であることが多い.
関節内病変には,腱板関節面と上後方関節唇の擦れによるインターナルインピンジメントや上前後関節唇損傷(superior labrum anterior and posterior lesion;SLAP)病変といわれる上方関節唇損傷,関節窩後縁の骨棘形成を生じるベネット病変などがあるが,治療にあたっては,まず前述したように,それを来した原因を究明し,治療することが重要である.これらの関節内病変に対しては内視鏡による手術的治療を要することもあるが,保存療法を少なくとも3か月間行い,その効果を判断しながら手術適応を慎重に決定する必要がある.したがって,投球肩障害患者を診察するには,肩関節所見のみならず,前記の投球動作に必要な要素の評価,さらに実際の投球フォームを観察する必要がある.
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