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編集後記
川
pp.1128
発行日 2011年11月10日
Published Date 2011/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102289
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井原西鶴33歳,松尾芭蕉36歳,歌川広重27歳……なんと彼らが隠居した年齢だそうです.落語に出てくる横丁のご隠居など,おじいさんをイメージしてしまいますが,実際は40歳代で隠居するケースが多かったようです.この,まだまだ若くて元気なご隠居さんたちが,たっぷりある自分の時間を,一番大好きなこと,一番興味があることに費やし,まさに真剣に遊んだことで,戯曲や俳句,浮世絵など,すぐれた文化を生み出しました.
一方現代の40歳代といえば働き盛りです.「もうやめたい」と思ってもその肩には家族の生活がずっしりとのしかかっている.あるいは,「自分は独り者だからいいや」と思っても,先が全く見えない世の中,安易に仕事を手放すことができません.結局我々庶民は60歳過ぎまで働くことをやめるわけにはいかないのが現状ではないでしょうか.しかし平均寿命も延びた今,60過ぎから趣味を極め,大いに才能を開花させている人もいます.私もそういう方々を目標にするぞ!と,定年後にささやかな希望を見出していたところ,「年金支給年齢を70歳程度に引き上げ検討」というニュースが.……世に銭ほど面白きものはなし(by西鶴).いくつになれば隠居できるのでしょうか.
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