巻頭言
リハビリテーション中毒
山田 深
1
1慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター
pp.697
発行日 2009年8月10日
Published Date 2009/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101562
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中毒といっても,リハビリテーションすること自体が生きがいとなってしまい,いつまでも理学療法や作業療法を漫然と継続しているような患者のことではない.患者は私自身,いわゆるworkaholicの話である.
医学部を卒業してすぐ母校のリハビリテーション医学教室に入局し,リハビリテーション医学の何たるかを叩き込まれてきた.わが国におけるリハビリテーション医学の黎明期を支え,発展させてきた偉大な先輩諸氏の背中を追いかけること十余年,いまは単身赴任医長として病院敷地の寮に若いスタッフたちと共に身を置いている.気がつけば臨床家として,研究者として,教育者として,寝ても覚めても私の脳内マップは常にリハビリテーション色に染まり,思考と行動が支配されている.リハビリテーションの世界は深遠で,関わる仕事は年を追うごとに濃密に拡がっていく.そして,さまざまな局面で否が応にも責任を自覚せざるを得なくなってきた状況が,無用に心を駆り立てる.
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