Japanese
English
特集 誤嚥性肺炎と不顕性誤嚥
肺炎防御メカニズム
Protective mechanism of post-stroke pneumonia.
卜部 貴夫
1
Takao Urabe
1
1順天堂大学医学部脳神経内科
1Department of Neurology, Juntendo University School of Medicine
キーワード:
脳卒中後肺炎
,
嚥下障害
,
リン酸化CREB
Keyword:
脳卒中後肺炎
,
嚥下障害
,
リン酸化CREB
pp.111-115
発行日 2009年2月10日
Published Date 2009/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101439
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はじめに
近年,日本人の脳卒中全体における死亡率は低下しているものの,脳梗塞の有病率は増加傾向を示している.今日でも本邦における脳卒中の頻度は欧米に比べて高く,日本人の国民病といっても過言ではない.また脳卒中は,一旦発症すると重篤な機能障害を残すことが少なくなく,要介護患者の約4割を占め,医療経済面からも大きな社会問題となっている.また,慢性期における頭痛・頭重,めまい,しびれ・疼痛,うつ状態,認知機能障害,嚥下障害といった随伴症状は,機能回復の重要な阻害因子となっている.したがって,これら随伴症状を的確にコントロールすることは,慢性期脳梗塞患者のQOL(quality of life)を良好に維持するための大切な治療アプローチである.とくに嚥下障害は,誤嚥によって肺炎を合併する重要な病態であるが,有効な治療法は確立されていない.
われわれは,脳卒中の随伴症状である認知機能障害,嚥下障害,およびうつ状態に着目し,機能障害のメカニズムの解明と有効な治療法の確立を目的として,動物モデルを用いた基礎研究を進めている.本稿では,われわれの研究成果を含め,脳卒中後の肺炎防御のメカニズムを解説する.
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