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はじめに
わが国における慢性呼吸器疾患に対するリハビリテーションに関しては,「呼吸リハビリテーションに関するステートメント」1)(2001)が発表され,さらにその具体的なマニュアルとして「呼吸リハビリテーションマニュアル―運動療法」2)(2003)が出版された.2007年度中には生活指導マニュアルが出版される予定であり,これで呼吸リハビリテーションの基本方針が学会主導で決められたことになる.2006年の診療報酬改定で初めて呼吸リハビリテーションの項目が独立したことも追い風となり,地域の基幹病院では呼吸リハビリテーションを開始したいという申請が急速に増えている.
従来,わが国をはじめ諸外国の呼吸リハビリテーションは,大多数が一定のクリニカルパスによる入院方式であった.これは,外来では十分な時間もとれず,また多職種の医療スタッフを揃えられないという内部事情によるものであった.しかし,新しい保険制度のもとで進められている「呼吸リハビリテーション」は主として外来で実施されるものと予想され,医療コストに見合う効果が得られるかどうかについては疑問が残る.
在宅リハビリテーションとは疾病により慢性的な障害をもつ患者が,在宅での生活において機能回復あるいは維持を目指すことを目標としているものである.呼吸リハビリテーションをこれに合わせたものにするには在宅での生活のなかで確かな機能回復があり,QOL(quality of life)の高い生活を維持していけることを目的としなければならない.これは,呼吸理学療法,運動療法の継続実施だけでは,到底,達成しえない.生活全般に対する目配りや患者の訴えと身体状況に対する適切なアセスメントが必要であり,これにもとづく呼吸リハビリテーションが包括的内容として実施されなければならない.ここでの看護師の役割はいわばきわめて専門性の高いコーディネーターであろう.これらのことを前提に,以下,在宅での呼吸リハビリテーションの進め方を論じたい.
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