巻頭言
漫然とリハビリテーションを行わないために
原 行弘
1
1日本医科大学付属千葉北総病院リハビリテーション科
pp.801
発行日 2005年9月10日
Published Date 2005/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100166
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医療行為の質を評価するのは難しい.以前,あるリハビリテーション医が,講演のなかで“垂れ流しリハビリテーション”といういささか乱暴な表現を使われていたのを聴いたことがあるが,ある面,言い得て妙である.これは,“漫然としたリハビリテーションに陥らず,リハビリテーションの質をもっと重視し向上させなくてはならない”と警鐘された言葉だと筆者は考えている.ただ,リハビリテーションは他科ほど医療行為の帰結の白黒がはっきりしないゆえに,リハビリテーションの質云々を評価するのは難しい面が存在する.
例えば,回復期リハビリテーション病棟が登場して数年になるが,その内容の格差が問題として問われだしている.とりあえず1日の限度単位数までリハビリテーションをやっておけば,医療経済的に効率はよいが,内容の充実度には施設間格差がかなり認められる気がするのは私だけであろうか? 非常に熱心に内容充実を図っているところもあれば,形態は療養型病床から回復期リハビリテーション病棟に変身してもリハビリテーションの内容は変わらないところもある.“垂れ流しリハビリテーション”にしている状況の根本原因は,一言でかたづけられない深い問題がある.そこに本邦のリハビリテーション医療システムの不具合と未成熟なところを感じる.
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