連載 とびら
小児理学療法40年—原点は人生の強み
小玉 美津子
1
1神奈川県立小田原支援学校
pp.11
発行日 2024年1月15日
Published Date 2024/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203303
- 有料閲覧
- 文献概要
小児理学療法に従事して,約40年.その原点は,理学療法士の道に導いた母であり,最初に就職した神奈川県立ゆうかり園(現・神奈川県立総合療育相談センター)です.養護学校が併設された肢体不自由施設で医師,看護師,ケースワーカー,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,心理職,保育士,教員らと多職種のなかでチーム療育の原点を学びました.なかでも教員から受けた影響は大きく,振り返ると現在の職務につながっているような気がします.当時,教員から「何の目的のために理学療法を行っているのか?」,「子どもにとって,それでいいのか?」などと質問攻めに遭ったのを鮮明に覚えています.
当時は,“脳性麻痺児を正常化する”というボバース・ボイタ法が小児理学療法の主流の時代でした.そのような中,新人研修で成人の施設に1週間宿泊で体験する機会がありました.あの痛ましい事件があった津久井やまゆり園です.重度知的障害,行動障害,寝たきりの脳性麻痺と今まで見たことのない世界に衝撃を受けたのを覚えています.幼い脳性麻痺の子どもたちの理学療法にかかわるなか,子どもたちがどのように生まれ育ってきたのか? この子たちの将来は? 自然と子どもたちの地域生活に興味をもつようになりました.
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.