臨床のコツ・私の裏ワザ
回旋運動を引き出すコツ—内腹斜筋に着目したエクササイズ
飯田 開
1
1文京学院大学保健医療技術学部理学療法学科
pp.616-617
発行日 2023年5月15日
Published Date 2023/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203071
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
脊柱の回旋可動域は胸椎(第1〜12胸椎)では30〜35°,腰椎(第1〜5腰椎)では5〜7°1)と言われており,体幹回旋運動は主に胸椎部で生じている.また歩行中の骨盤と反対方向へ体幹が回旋することで体幹内部の角運動量を相殺し歩行中の平衡を維持すること2)や,片側の肩関節外転運動時には体幹の同側回旋が生じる3)ことについての報告があり,体幹回旋運動を拡大することは動作や隣接関節にも影響を与える.臨床においても体幹回旋運動の不均衡や可動域制限を来している症例を多く経験するため,本稿では体幹回旋運動を引き出すために胸郭に作用する内腹斜筋のエクササイズを紹介する.
内腹斜筋は,胸腰筋膜の深葉,腸骨稜の中間線,上前腸骨棘,鼠径靱帯の外側2分の1に起始し,第10〜12肋骨の下縁,腹直筋鞘の前・後葉・白線,精巣挙筋との境界に停止し,片側が作用する場合は体幹の同側の側屈・回旋,両側が作用する場合は体幹の前屈を導く4).この内腹斜筋の片側の活動を促すことで体幹回旋運動を引き出すことを目的に座位での骨盤挙上運動エクササイズを行う.
Copyright © 2023, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.