連載 とびら
物まねの大切さ
塚田 絵里子
1
1帝京科学大学医療科学部東京理学療法学科
pp.367
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201856
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筆者は養成校の教員になって十数年経つが,近年の学生を見ていて気になっていることがある.それは,検査測定などの技術習得に苦労する学生が増えてきていることだ.手本を示してもうまくまねをすることができず,自身の身体の使い方が下手であるという印象である.筆者の学生時代とは違い,挿絵や写真,動画のある書籍が増えており,技術の勉強をする際には大変助けになると思われる.しかし,とある学生いわく,「だって写真とか絵とかは二次元じゃないですかー」だそうだ.絵や写真のとおりに身体を動かすことに困難さを覚える学生も多いようである.多人数を相手にする実技指導において,どのような方法がよいのかいまだ考えあぐねている.
近年,他人の行動を見て模倣する際に働く細胞としてミラーニューロンが注目されている.多くの方がご存知のとおり,ミラーニューロンは「物まね細胞」とも呼ばれ,模倣学習のみならず,他人の表情などから感情を読み取り,共感を覚える際などにも働くとされている.技術指導に模倣学習は不可欠であり,このミラーニューロンの働きから,指導方法のよいヒントがないものか考えてみたい.
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