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連合学会として一区切りの第52回日本理学療法学術大会が5月12〜14日の間,千葉県の幕張メッセ等で開かれました.「理学療法士の学術活動推進」という全体テーマで,さらに各分科学会が独自のテーマを掲げて進められました.例えば日本運動器理学療法学会では「エビデンス(EBM)構築の臨床的意義」,日本神経理学療法学会では「神経理学療法領域における理学療法士の責任」として開催されました.この道に通じる専門家であると公言している理学療法士は責任を全うしているか,その向上を図るために精力的な学術活動を,真摯な臨床活動を行っているか,自らに問いかけるよい機会になったのではないかと思います.日本における理学療法士の誕生以来,その資質の向上を願ってともに歴史を重ねてきた本誌にとっても感慨深い学術大会になりました.来年度より各分科学会による学術大会が各地で開催されますが,明日からの理学療法士の指針になるよう展開されることを期待しています.
さて,今月号の特集は「理学療法士のはたらき方」というテーマで企画しました.医療を取り巻く社会は時代とともにさま変わりしてきました.超情報化社会になって便利になった反面,個人情報の管理など危険と隣り合わせで日常生活を行わなければならない時代になっています.人々の価値観や生き方も変化し,また理学療法士のプロフェッションとしての受け止め方も時代の流れとともに変わってきているようにみえます.そこで,歴史的にプロフェッションの代表とされる弁護士の髙澤文俊氏にプロフェッションとは何か,新時代のなかでプロフェッションとしてどうあるべきか解説していただきました.理学療法士はプロフェッションとしての資質の向上を期し,組織の一員としてその成長を果たしていく責任があります.その組織の環境も価値観もまた多様です.また,そのような社会のなかで理学療法士自身の自己実現に向けて個々の多様性に合わせた生活の充実を図ることも必要です.女性理学療法士も多くなり,さまざまな課題がそこには存在します.これらの課題について永冨史子氏,大垣昌之氏,岩﨑裕子氏に論じていただきました.張本浩平氏,松葉好子氏,渡邊亜紀氏と交わした座談会と合わせてご覧ください.一概に語れることではありませんが,本特集をきっかけに理学療法士のはたらき方について考えていただければ幸いです.
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