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書評 —網本 和(編)—「PT・OTのための高次脳機能障害ABC」
森岡 周
1
1畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
pp.291
発行日 2016年3月15日
Published Date 2016/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200506
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「リハビリテーション医療のなかで難渋する症状を挙げよ」と言われれば,おそらく真っ先に挙がるのが高次脳機能障害ではないだろうか.なぜなら,複雑な脳のシステム機能から高次機能は生み出されていることから,脳損傷後にみられる高次脳機能障害は実にその現象が多彩であり,介入が一筋縄ではいかないためである.また,介入方法のエビデンスがいまだ明確でなく,療法士の技術というよりも課題をどのように組み立てるかといった想像・創造力に委ねられているからである.
本書はこれまでの症候学的観点から,「意識障害」「注意障害」「認知症」「失語症」「失行症」「失認症」「半側空間無視」「Pusher現象」「記憶障害」「遂行機能障害」の10の症状に分け,その現象,メカニズム(仮説を含む),評価,そして治療アプローチについて系統立って書かれている.本書は古典的症候学から現代の神経科学的知見までおおよそ網羅されており,初学者にとっては本書のタイトルにもあるように,まさに「ABC」とまずは押さえておくべき知見が平易に解説されている.とりわけ図表が多く使用され,視覚的にも学習しやすいところが特徴である.さらに,そのほとんどで症例提示されており,臨床経験の浅い療法士にとってはその流れがイメージしやすいのではないかと思う.
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