書評
―網本 和(編著)―「理学療法ケーススタディ良好/難渋例の臨床」
森岡 周
1
1畿央大学健康科学部理学療法学科
pp.592
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101215
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対象となる疾患のみを診るのではなく,個々人として診て,それに応じたオーダーメードな治療を計画し,実施する.そのようなことは,理学療法の臨床において当たり前であると思っていても,なかなか実践するのは難しい.
本書は編者の長年の臨床経験と臨床研究に基づき,理学療法において,常日頃,ケーススタディを行うことの重要性を説いている.特に,序章となる「ケーススタディのすすめ」においては,福沢諭吉の『学問のすすめ』を例に,ケースから学ぶことの大切さを強調している.理学療法士の経験が知恵として実るためには,机上の知識に加えて,やはり毎日の臨床において思考し,体感したことを統合することが重要である.臨床研究におけるシングルケースパラダイムへの転換を切に願っている編者の文章には,理学療法士として無意識に共感してしまう.
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