Japanese
English
症例報告
BNPを指標として運動負荷と身体活動管理を行った完全大血管転位Ⅰ型による重症成人心不全の1例
Successful physical therapy intervention for an adult patient with complete transposition of the great arteries:management of physical activity and exercise based on the BNP
高見沢 圭一
1
,
横田 一彦
1
,
後藤 美和
1
,
山口 正貴
1
,
長谷川 真人
1
,
芳賀 信彦
1
Keiichi Takamizawa
1
1東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
キーワード:
成人完全大血管転位症
,
B型ナトリウム利尿ポリペプチド(BNP)
,
重症心不全
,
身体活動
Keyword:
成人完全大血管転位症
,
B型ナトリウム利尿ポリペプチド(BNP)
,
重症心不全
,
身体活動
pp.229-234
発行日 2016年2月15日
Published Date 2016/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200490
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要旨 New York Heart Association(NYHA)Ⅳ度の重症心不全を契機に入院し,加療,理学療法を経て自宅退院となった完全大血管転位症(transposition of great arteries:TGA)Ⅰ型の成人未治療症例を経験した.TGAは新生児期に大多数が心内修復術を行われることから,成人未治療症例はきわめて少ない.同様に,理学療法に関する報告は,小児患者や術後患者については散見されるものの,未治療かつ成人患者の報告例は見当たらない.重症心不全時期の理学療法介入であったが,安静が優先される時期においても低強度の抵抗運動を積み重ね,骨格筋の維持,改善を果たした.特異な循環システムのため心予備能に乏しく,わずかな運動負荷増,身体活動増が過大な心負荷となることが懸念され,その調節に難渋したが,B型ナトリウム利尿ポリペプチド(brain natriuretic peptide:BNP)を心不全の指標とし,metabolic equivalent(MET)単位での運動負荷,身体活動制限を導入することで,心不全に応じた適切な心負荷となり,心不全改善に好影響を与えたものと考えられた.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.