Japanese
English
症例報告
広範な病巣を有する小脳梗塞例の理学療法経験
The physical therapy experience of cerebellar infarction patients with a wide range of lesions
田村 哲也
1
,
中村 洸貴
1
,
柴尾 京子
1
,
吉尾 雅春
1
Tetsuya Tamura
1
1千里リハビリテーション病院
キーワード:
小脳梗塞
,
運動失調
,
画像所見
Keyword:
小脳梗塞
,
運動失調
,
画像所見
pp.562-567
発行日 2014年6月15日
Published Date 2014/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106674
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要旨:広範な病巣を有する小脳梗塞例の重度の運動失調に対し,画像所見の分析も加味して立位・歩行練習を主とする理学療法を試みた.入院当初は意識障害,協調性運動障害,運動失調に伴う姿勢,運動の不安定さを認め,日常生活活動は全介助を必要とした.Computed tomography(CT)画像では左側小脳のほぼ全域に低吸収域を認めた.治療は長下肢装具(knee-ankle-foot orthosis:KAFO)を使用した立位・歩行練習から開始した.意識障害の改善と併せて,立位では自発的な姿勢保持を促すとともに,能動的な運動課題を通じて自動的な姿勢調整を求めた.また歩行はKAFO歩行やさまざまな歩行形態を同時進行的に実施し,能力の改善と併せて日常的に歩行を繰り返した.その結果,16週目に約5重複歩の独歩が可能となり,24週目で壁伝い歩行と排泄動作が自立し,26週目には日常生活動作が概ね自立した.残存領域の機能を最大限活用することはリハビリテーションの要素として不可欠であり,その治療計画の構成に画像所見は有用である.
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