甃のうへ・第9回
A,ときにはB―対象者の生き方に沿って
牧田 光代
1
1東京工科大学医療保健学部理学療法学科
pp.1107
発行日 2013年12月15日
Published Date 2013/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106500
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振り返れば40年以上も理学療法士として働いてきた.その間に仕事に対する迷いは何回も経験した.最初で最大の迷いは,仕事を始めて5年ごろだったと覚えている.それまで障害を治すことに専念してきたつもりだったが限界を感じ,それのみか生活にも気力をなくし,仕事を辞めるつもりでいた.
ちょうどそのころ「辞めるなら1年間でよいから仕事を手伝ってくれ」と誘われ,新設の大学病院に移ることになった.移った直後に初めての海外旅行を経験した.昼前,ネパールの3階建てのホテルの屋上から下の通りを眺めていた.人通りのない未舗装の道路上,強い日差しの下で黒い雨傘を日除けにして20~30人程度の野菜などを売る市が開かれていた.
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