特集 神経筋疾患の治療と理学療法
多系統萎縮症に対する治療と理学療法
中本 久一
1
,
山本 誠
2
Hisakazu Nakamoto
1
1独立行政法人国立病院機構福井病院リハビリテーション科
2独立行政法人国立病院機構宇多野病院リハビリテーション科
pp.1061-1068
発行日 2013年12月15日
Published Date 2013/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106489
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はじめに
多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)は,孤発性,進行性,成人発症の神経変性疾患で,小脳性運動失調,パーキンソニズム,自律神経障害を特徴とし1),孤発性の脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration:SCD)のなかでも最も多い病型である.元々は,オリーブ橋小脳萎縮症(olivo-pont-cerebellar atrophy:OPCA),線条体黒質変性症(striato-nigral degeneration:SND),シャイ・ドレーガー症候群(Shy-Drager syndrome:SDS)として,それぞれが独立した疾患と考えられていたが,病理学的に共通した所見を持つため,同一の疾患としてMSAという名称を与えられ確立した.
MSAは進行性の神経難病で,その症状も多岐にわたり,またパーキンソン病と異なりレボドパに対する反応性が悪く,進行も早いため,リハビリテーションに向けられる期待は大きい.本稿ではその疾患概念と多様な臨床症状を概説し,小脳性運動失調とパーキンソニズムに対する理学療法の要点を説明し,起立性低血圧への対処方法も紹介する.
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