特集 嚥下障害/熱傷
重症熱傷急性期の管理とリハビリテーション
安瀬 正紀
1
,
荻野 浩希
1
Anze Masanori
1
1横浜市立大学医学部附属浦舟病院熱傷センター
pp.249-254
発行日 1999年4月15日
Published Date 1999/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105281
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1.はじめに
重症熱傷に対する初期輸液療法,呼吸・全身管理,感染対策,手術法の進歩により,これまで救命し得なかった広範囲重症熱傷までも生存できるようになってきた.しかしながら,広範囲重症熱傷患者ではどうしても救命重視の治療が優先し,ある程度治療が完了した段階になって初めて機能障害・醜形が顕在化し,患者の自立,社会復帰のために大きな障害となる.そのため時間が経ってから機能障害・醜形に対する治療計画が組み立て直され,進められることが多い.入院期間の短縮,手術回数の減少さらに患者負担を減らし,コストを削減するためにも,救命に偏ることなく,熱傷治療について早期から共通の理解を持って多面的,計画的なチーム医療が展開されなければならない.
広範囲重症熱傷では,採皮部が限定されてしまうため,広大な熱傷創に対し8/1000~12/1000インチと薄く分層採皮された皮膚を網状にしたり,切手状の細片にして植皮するなどの工夫が通常行われている.採皮部が上皮化して治ると再度同じ部位より採皮し有効に活用する.薄い分層植皮により治癒した熱傷創は瘢痕拘縮を起こし,頸部,四肢関節のROM制限をきたし,ひいては日常のADLの拡大に大きな障害となる.患者の自立,社会復帰というゴールを目指した治療を進めるためには,積極的に早期より一貫したリハビリテーションチームの参加が必須のものとなる.
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