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はじめに
“Physiotherapy Canada”はカナダ理学療法士協会の機関誌であり,1923年から1997年まで第49巻を数える歴史ある学術雑誌である.この“Physiotherapy Canada”は季刊で,冬春夏秋の各季に合わせて年4号発刊されている.構成はEditorial,President's report,Dialog等の論説と,原著論文,書籍などのメディアのレビューからなり,特に春号(第2号)にはカナダ理学療法士学会の概要が掲載されている.この雑誌はお国柄を反映して,Editorial,President's reportではその全文が,原著論文では要旨が,英語と共に仏語にて記載されていて興味深い.
第49巻における原著論文数は23編であった.分野別でみてみると,理学療法関係では,高齢者の体力維持に関する発表として,電気刺激を用いた筋力強化訓練と,長期収容施設におけるウエイトトレーニングの実施という2編があったほか,治療機器関連として,空気圧を利用した治療機器とCPMに関する報告や,理学療法の有効性の検討に関する調査報告の計5編が掲載されていた.
装具療法関係では,一般的な装具療法に関する報告はみられなかったものの,スポーツで用いる粘着テープの脳卒中患者の亜脱臼への利用や,スポーツ用のトレーニングパンツの断端形成への応用,痴呆患者の転倒時の骨折予防パンツなどユニークなものが3編載せられていた.
運動学関係としては,写真を用いた関節可動域を計測する際のランドマークの決め方や,複数検者で行われる研究デザインについてなど,正確なデータの取得に関する内容の論文のほか,胸部理学療法時の頭蓋内圧変化や高齢者の動的平衡機能の測定など,興味深い内容の論文が4編掲載されていた.
評価法関係では,脳卒中および下肢の機能障害に対する新しい評価法の検討と,職業復帰などの際の詐病に関わる評価の報告の計3編があった.
教育関係においては2編の掲載があり,1つは入学時の判定とその後の動向に関する展望研究であり,もう1つは卒後教育に関するものであった.
業務管理運営関係では,外来患者管理に関して,高齢者の外来患者に関するものと,受付待ち患者の対応に関する論文があったほか,地域における理学療法のかかわりや,理学療法助手の管理教育,臨床実習とその生産性といった,日本ではあまり見かけられない報告があった.また,ベッドサイドでの訓練を余儀なくされる患者の治療管理に関わる論文もあり,合計6編が載せられていた.
本稿では分野別分類に従い,それぞれの論文の要旨を紹介するが,興味のある文献に関しては原著を読むことをお勧めする.なお,[ ]内の( )が掲載号,その後の数字はページを示す.
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