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1.はじめに
老人保健施設では,高齢障害者の通過施設として,リハビリテーション(以下リハ)サービスが重視されており,ケアプラン作成機関になりうる施設として位置づけられている.
老人保健施設の主なサービス内容は,入所サービスと在宅サービスに分けられる.入所サービスとは,家庭復帰を目指したリハ,療養に必要な看護・介護を中心とした医療ケアおよび日常生活サービスを提供する入所3か月以内のサービスである.在宅サービスには,在宅介護者の休養のために寝たきり老人などをあずかり必要な医療ケアと日常生活サービスを行う10日前後の短期入所サービスと,通所サービスとしてのデイケアサービスがある.
実際に多くの老人保健施設でこれらのサービスは取り組まれているが,サービスの内容や頻度を利用者のニーズに合わせるのではなく,施設側の都合に合わせているケースも少なくない.また,地域に充実したサービス提供機関が存在しても,そのサービス内容をその都度確認していたのでは,日々心身の変化が現れる高齢障害者への柔軟な対応は不可能である.仮にこれらの条件を満たしたとしても,関わる職種やサービス提供機関との信頼関係がなくては,良質なサービスの提供はできない.
このように,老人保健施設およびサービス提供機関は,さまざまな問題を抱えながら高齢障害者を支援していくことになるので,保健・医療・福祉だけでなく,高齢障害者・家族・地域住民など,さまざまな機関,人々によるチームアプローチが必要となる.
ケアマネジメントに関する議論は,ともすれば「どうすればつくれるか,どうすればうまく機能するか」などと「ケアマネジメント」が「目的」になりかねない.しかし,ケアマネジメントは,あくまでも高齢障害者が地域で充実した生活を送るための「手段」であり,このことを常に念頭におくことが重要である.そのためにも,高齢障害者がケアマネジメント的アプローチを受け,施設,地域で生活する上で何が問題であるのかを明らかにする必要がある.
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