とびら
“訪問リハで想う事”
福永 恵美子
1
1東京都江戸川区役所健康部管理課訪問サービス係
pp.449
発行日 1996年7月15日
Published Date 1996/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551104571
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十数年の病院勤めをやめ,地域で働きたいと思い東京・江戸川区役所に勤務して,早2年余になる.地域で働き始め,毎日のように訪問に出かけるなか,“リハビリテーション”とは何か,という疑問に度々ぶつかる.そんな手探り状態のなかで地域(在宅)で生きる障害者と出会うとき,リハビリテーションには“プラトー”も“ゴール”もないのではないだろうかと感じさせられる.地域において“リハビリテーション”とは大げさかもしれないが,その人の生き方に接する(関わる)ことで,たとえ身体機能面でプラトーに達していても,またADLが全介助であったとしても,生き方や生活行動は,その人と周囲の環境によって変化し続けるものだと感じている.そのような状況で,私たちの役割は,障害者にとってその人らしい生活ができるためのちょっとしたきっかけを作ってゆくことかも知れない.
人それぞれ生きてきた人生が違うように,人にはそれぞれの異なった生活様式がある.ベッドよりタタミに寝ることが好きな人もいれば,洋服より着物が好きな人もいる.外へ出ることが好きな人もいれば,1人で静かに過ごすことが好きな人もいる.それは障害者とか健常者ということではなく,1人の人間としての生き方であり,全ての人に与えられた権利だろう.
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