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はじめに
障害者スポーツは,リハビリテーションから競技レベルに至るまで,身体障害者がより活動的な人生を充実させていこうとする1つの手段である.そして,理学療法士が実際に選手や競技団体にかかわる機会も少しずつ増えている.
さて,アンプティサッカーという競技をご存じだろうか.まだまだ日本では馴染みの薄い競技ではあるが,障害者スポーツの1つとして徐々に普及が進んでいる競技である.
アンプティサッカーは上肢・下肢切断者が義肢なしでプレーするサッカー(図1)であり,1980年にアメリカで始まった.1チーム7人で,フィールドプレーヤーは下肢切断者,ゴールキーパーは上肢切断者が務める.フィールドプレーヤーは義足を外した状態で両手にクラッチ(ロフストランド杖)をもち,杖でボールをコントロールすると反則で,オフサイドはない.ピッチの広さは健常者のサッカーの3分の2ほどであり,試合時間は前後半各25分の計50分である.日本での歴史は浅く,2010年に元アンプティサッカーブラジル代表の日系人が来日したことをきっかけに普及活動が開始され,その後日本初のアンプティサッカーチームFC Gatharsec(ガサルス)が立ち上げられた1).また2010年第8回ワールドカップアルゼンチン大会への出場を機に,日本アンプティサッカー協会(JAFA)2)が設立された.国際アンプティサッカー連盟(WAFF)には現在20か国以上が加盟しており,高価な器具を使わずプレーできるため,経済的に恵まれない国々でも受け入れられやすい.特に紛争の多い地域では,四肢を欠損した兵士や民間人の身体的リハビリテーションやメンタルヘルスケアに効果を上げている.世界大会も10回以上行われており,ヨーロッパ,アフリカ,南米などではプロリーグやジュニアリーグも存在する.
著者は,昨年より,日本で初めてのアンプティサッカーチームFC Gatharsec(ガサルス)に,専属トレーナーとして練習および試合に帯同している.これまでチーム帯同のみならず,日本のアンプティサッカーに定期的にかかわるトレーナーはおらず,トレーナー業務の立ち上げから現在までの経過,取り組み,今後の課題を紹介および報告したい.なお今回の報告に際し,選手より同意を得た.
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