クリニカル・ヒント
“外へ出る”―H氏への手紙
石田 卓司
1
1伊豆逓信病院リハビリテーション科
pp.483-484
発行日 1993年7月15日
Published Date 1993/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103787
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私はこの間あなたから受け取った手紙の,「一般病院の理学療法士はいま危機にあります」という件が,ずっと気になっています.危機の具体的なありようや,なぜそれが危機的状態とみなされるかを,あなたは十分語っておられませんので,私はその言葉の意味するところを,自分の側に引き付けて考えてみました.そして思いついたことの幾つかを,あなたへの返事としてここへ認めることにします.
あなたはこの秋の研修会で言っておられたように,病院を職場とする理学療法士として,退院後地域へ帰った大勢の障害者との間に,新しい関係を築かれたのでした.その模様は,のびやかで闊達な地域のサークル活動であるらしいと窺い知れました.その独自な活動を始める際のあなたの構想と,それを維持していく上でのサークルの中のあなたのスタンスが決定的な意味をもったことは疑いえません.ともかく,そうした実りある地域活動体験をもつあなたが発した「理学療法士の危機」説ですから,私としてもそれに対応する理由を真剣に探らなくてはなりませんが,ひとまずここでは「理学療法士の自閉性」という言葉で括っておくことにしましょう.
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