とびら
介護者の目
大橋 ゆかり
1
1東京都立医療技術短期大学
pp.3
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103660
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父は脳炎後遺症の四肢麻痺である.発症は17年前.CT以前の時代でもあり病名は不明であった.ともあれ半年ほどで急性期を脱し,「あとはリハビリで」となった.理学療法士という仕事と私との出会いである.それから2年半,父は独歩退院となり,さらに3年後,私は理学療法士になった.
新人理学療法士として私は,母にあれこれとアドバイスをした.「そこはこうしたほうがうまくいくんじゃない.」と私.「でもお父さんにはこのほうがいいの.そのうちできるようになるから.」と母.「じゃ勝手にしたら.」となる.母娘だから薄情なものである.ところがしばらく放っておくと母の言ったようになってしまう.私の面目は丸潰れである.が,そこは母娘のこと,また臆面もなくちょっかいを出す.そしてまたノックアウト.こんなことの繰り返しであった.
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