とびら
「息遣い」をつかめたら
大塚 ひろみ
1
1堺市立堺病院リハビリテーション室
pp.225
発行日 1991年4月15日
Published Date 1991/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103236
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3年間の指月寮生活を挾んで,この春,卒業後の理学療法士としての就業年数が,入学時の年齢に追い着く.あらためて過ぎ去った時の重たさを痛感する一方,それに比した我が身のあまりの軽さに愕然としてしまう.尊兄姉弟妹を前にして,己の浅薄さを晒(さら)しているのにすぎない,とのご叱責をいただく覚悟で,日ごろのこだわりの中から,その一つを取り上げてみたい.
それは,「息遣い」である.かなり前になるが,3m弱の歩行で必ず立ち止まる患者さんの介助中,それが息堪(た)えの限界だと気付いた.そのとき,思わず口に出た「息をしましょうね.」のことばに双方ともに吹き出してしまった.吹き出しながら,「上手な息のしかた,じょうずな息遣いとは?」と漠然とした疑問をもったことを覚えている.それ以来,たびたび「息遣い」が気になりながらも,為す術(すべ)も知らず今に至っている.
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