クリニカル・ヒント
高齢者への運動指導
奈須田 鎮雄
1
1福井循環器病院
pp.334
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551103016
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1.高齢者と臨床
最近,多くの理学療法士の方々から臨床現在で「高齢者や心疾患を合併している患者を治療・訓練する機会があるが,そのときどのように指導をしたら良いのか戸惑うことがあるのですが,いったいどのように指導したらいいのでしょうか?」との声を耳にする.
こうした戸惑いも身近に相談できる循環器医がいればほとんどの場合は容易に解決できるのだが,こうした声があるのも整形外科中心に,あるいは脳血管障害中心に,いわば縦割りの診療体制の枠の中で理学療法士が治療・訓練を行なっているといった弊害のためではないかと思う.皮肉なことに,循環器疾患専門病院の当院でも整形外科医がいないばかりにその方面での相談が十分できず,他の病院の整形外科医の手を煩わせてしまうことがある.たとえ循環器疾患専門病院といえども,患者の高齢化の波は確実に押し寄せている.我が国の心疾患患者に限らず他疾患においても我が国の高齢化を背景に,さまざまな疾患を合併した患者が対象となっている.
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