書評
―小柳磨毅(編)―「実践PTノート」
福井 勉
1
1文京学院大学保健医療技術学部理学療法学科
pp.316
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551102581
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本書は,小柳磨毅教授を中心にスポーツ傷害の理学療法を専門としたグループが著した力作である.原型は学生資料だったとされているが,その中身は学生のみならず,若い理学療法士にも好評のようである.「総論」「運動療法の基礎」の章の後は,「肩関節と肩甲帯」「肘関節・前腕」「手関節・手指」「股関節」「膝関節」「足関節」「脊柱・骨盤」「運動連鎖」の関節別構成をとっている.そのため,どの章から始めても基礎学習に有益であるだけでなく,学習した内容を鳥瞰図的にチェックできる構成は,他書にはあまり見られない手法である.階段を1つひとつ昇って,進歩の度合いが明示されるような構成は,若い理学療法士が自己信頼をつかむ場面に適していると考えられる.
各関節ごとに「mobilityの評価・治療」「stabilityの評価・治療」という内容が記されている.これは著者らの長年の臨床経験から抽出されたものと考えられるが,各々の技術供覧に至るプロセスには多くの時間が費やされたことは想像に難くない.これらの技術蓄積は,感性の賜物ともいえるであろうが,疾患の特徴だけでなく対象者の個別性が考慮されていることを随所にうかがい知ることができる.
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